格安航空会社LCCの使用機材
格安航空会社LCCでは、コスト削減のため、使用する機材(航空機の種類)は1つに絞られている場合が多いです。その機材は、ほとんどがB737かA320です。なぜ、この2機種が人気なのでしょうか。
また、格安航空会社LCCでは、古い機材が使われている、と考えている方もいます。これは事実なのでしょうか?
ここでは、LCCが使用している機材についてわかりやすく解説していきます。
単通路の中型機が人気
B737もA320も、真ん中に通路が一つあり、その両側に座席がならぶ「単通路機」です。席数150〜200席、後続距離5,000キロあまりで、中型の短距離機に分類されます。
この2機種は、ボーイングとエアバスのベストセラー機として知られ、大量生産により安く購入することができる、という背景があります。格安航空会社LCCは、座席あたりの単価が安い航空機を求めるので、こうした「定番のベストセラー機」に集中するのです。
また、整備コストを下げるため、保有機材は一つに絞る傾向があります。そのため、全世界で、この2機種ばかりがLCCにあふれることになるのです。
B787も増えてきた
ただ、最近は少し傾向が変わってきています。中長距離を飛ばすLCCが増えてきて、航続距離の長い機材を導入する会社が出てきました。
人気なのはB787です。通路が二つある中型機で、燃費性能に優れるのが特徴です。航続距離も長く、日本~欧米へ飛ぶことも可能です。日本ではジップエアがB787を導入しています。海外では、シンガポールのスクートやオーストラリアのジェットスターなどもB787を使用しています。
実は新造機が多い
格安航空会社LCCでは中古機材が多いだろう、と想像される方も多いのですが、実はそうではありません。整備コストや燃費を考えると、新造機を購入した方が安く付く場合が多いので、LCCといえども主力は新造機です。スカイマーク、ピーチ、ジェットスター・ジャパンは、いずれも新造機を使用しています。
例外として、設立まもない航空会社は、中古機を使用するケースも多いようです。新造機は発注から受け取りまで数年かかるため、設立直後に新造機を揃えることが困難だからです。ジップエアは親会社の日本航空の中古機を「お下がり」で投入しています。
また、LCCでも、歴史の長い会社や、規模の大きな会社は、機齢の高い機材が混じっています。
格安航空会社LCCは揺れる?
最近、まことしやかにささやかれているのは「LCCは揺れる」という説。その理由を調べてみると、機材がエアバスのことが多く、エアバスは操縦にサイドスティックを使用しているから揺れやすい、ということのようです。また、パイロットが外国人のこともあるので、日本人パイロットよりも操縦が荒い、と考える人もいるそうです。
が、これはほとんど「都市伝説」の域でしょう。仮に「エアバス機が揺れる」のなら、エアバス機を使用している大手航空会社も同じように揺れるはずです。また、外国人パイロットが操縦が荒いなら、外国の大手航空会社全てが当てはまります。
そもそも、最近の飛行機は自動操縦が主体なので、パイロットによる操縦の差は、離着陸時以外はほとんどありません。
ということで、格安航空会社LCCが揺れる、というのは、根拠のないウワサと言えそうです。